こんにちは。
最近、中小企業の株主総会に同席する機会が数回ありました。
総会に同席して即座に議事録等の書類に捺印してもらい、事務所に帰って申請書類をまとめてオンラインで登記申請、その後すぐに法務局へ添付書類を持ち込み。走り回りました。
・・・というように、株主がいれば株主総会を開いて会社を運営できる、当然のことのように思いますよね?
ところが、何らかの理由で株主がいなくなったとか、音信不通だとかいうことになると、難儀することになります。
中小企業の中には、1人の株主が100%出資して会社を設立した新しい会社や、先代の100%株主兼代表取締役から、後継者である現代表取締役が株式を全て引き継いだ会社が多くあります。100%株主であれば、「株主の同意」を即座に得ることができ、経営に第三者の意思が入り込むことがないので、中小企業にとっては大きなメリットになります。
ところが、そういう会社において何らかの理由で株主が行方不明になったり、株主の能力の喪失等が発生すると、株主総会が開催できず会社経営が事実上ストップしてしまうおそれがあります。
そんなこと滅多に起こるものでもなし、想定しておかなくても、と思う方も多いでしょうが・・・現に弊事務所では株主の方との音信が取れない、という相談をお受けしたことがあります。会社運営が進まず大変困りました。
失踪宣告など、時間をかければ解決できる可能性はあります。
しかし、残った従業員や役員等にしてみれば毎日の生活が掛かってる訳ですから、株主にもしものことがあっても会社運営を継続できるよう考えておくことも、決して無駄なことではありません。
このような場合を想定した対策として、「株式に関する属人的な定め」の導入を検討するのも1つの方法ではないでしょうか。
これは会社法第109条第2項に規定されており、発行する株式の全部について譲渡制限の定めを設けている株式会社において、
1剰余金の配当
2残余財産分配
3議決権
について、株主ごとに異なる取り扱いを行う旨を定款に定めることができる、というものです。この「3」議決権について株主ごとに異なる扱いを定款で定めるわけです。
例えば、現在株主Aが100%株主である場合において、Aが信頼できる第三者Bに1株だけ株式を保有させます。
その後株主総会において、「株主Aが行方不明、精神上の障害等による判断能力の喪失等々(想定するケースに応じて定める)の事由が生じている間に限り、株主Bはその有する株式1株につき○○○個の議決権を有する」という規定を設ける定款変更をし、万が一株主Aが行方不明等の場合においては株主Bが適法に株主総会を開催できるだけの議決権を有するようにしておきます。
そうすることで、会社の運営が停滞してしまう危険性を回避することができます。
この定款の規定は非常に有効だと思われますが、、万が一の場合には非常に強い権限をBに与えることになるので、Bの立場になる人の人選も含め会社内部でよく検討することが必要です。
またこの規定は登記事項ではないので、対外的にこの規定の存在を明らかにすることができるのは定款のみです。従って常に最新の定款を正確に整えておくことも必要になります。